子どもに増加中⁉ ロコモティブシンドロームとは
皆さんはロコモティブシンドロームという言葉を聞いたことがありますか。
少し前の話であればロコモティブシンドロームは高齢者がなるもので、若い人は無関係だという認識がありました。
そんなロコモティブシンドロームですが、最近は子供にも予備軍が増加しているようです。
今回はロコモティブシンドロームと子供への影響について解説していきます。
ロコモティブシンドローム(略してロコモ)とは運動器症候群とも呼ばれ、2007年に日本整形外科学会が提唱した新しい概念です。
骨や筋肉、関節といった運動器は私たちが日常を送るには必要不可欠で、その運動器の衰えによって介護が必要になったり、寝たきりになったりします。
その運動器が加齢などによって衰えて、要介護などになる危険性が高い状態をロコモティブシンドロームと呼んでいます。
子どもとロコモティブシンドローム
本来活動量の多い子供はロコモにはならないと考えられていました。
それが最近の調査では子供にもロコモの恐れがあるとして、早急な対策が必要との声も出てくるようになっています。
文部科学省が行っている体力・運動能力調査からも年々子供の体力が低下していることは指摘されていました。(反対に身長や体重といった体格は向上している)
実際の例として、文部科学省の委託を受けた埼玉県医師会が平成22~25年に県内の幼稚園~中学生までの子共約1300人を対象に検診を行った結果、約4割に機能不全の兆候が見られ、3人に1人以上にロコモの疑いがあるとしています。
他の調査の結果ですが、宮崎でも8000人もの小中学生を調べたところ23%の子供に運動器の問題があると判明しています。
なぜ子供の運動器が低下しているのか
ひとつは日常生活での運動時間が減っていることです。これは塾や習い事など学校外の学習活動や室内での遊び時間の増加によって減少していると思われます。
また、空き地などの遊び場の減少、公園での玉遊びといった運動の制限・禁止、少子化の影響なども背景にあるといえます。
意外と忘れられているのが親の影響です。子供の生活習慣は親の影響が強く出るため、日常から運動や食事などの生活習慣を親が管理することが大事になります。
まとめ
いかがだったでしょうか。
子供のころから色々な運動を行うことで筋力や骨を強くし、神経を発達させて運動機能を高めることがいかに重要か理解したと思います。
運動器が発達しないと介護や寝たきりだけでなく、ケガをしやすくもなります。実際、ある調査では昭和45年の学校での骨折発生率は0.64%だったのに対し、平成23年には1.60%に増加しています。
臨床現場でみていても中学高校生くらいの子がすでにO脚になり始めていたり、肩こりや腰痛もよくみます。
これからを担う子供たちのためにも、私たち大人が環境を整えたり、正しい知識を伝えたり、指導をしていかないと近い将来は大変なことになりそうです。