健康ガイドブログ ちょっと寄り道

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ゼロからわかる漢方 防風通聖散とは

突然ですが、皆さんはどのようなダイエットをされたことがありますか?

最近は漢方の防風通聖散をダイエットに使用していることがありますが、実際のところはどうなのでしょうか。

 

今回は防風通聖散の正しい知識と使い方を解説していきます。

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防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)とは

構成生薬は多く、当帰、白芍、川芎、黄ごん、山梔子、防風、薄荷、麻黄、連翹、荊芥、滑石、石膏、桔梗、生甘草、生姜、白朮、大黄、芒硝の18種類の生薬からなる漢方です。

 

主に便秘、高血圧、肥満症、風邪、インフルエンザ、肺炎、気管支炎、急性腎炎、急性肝炎、膀胱炎、皮膚炎などに対応する処方です。

 

よく肥満やダイエットに使われたりしていますが、本来は熱毒による皮膚炎、痔などやニキビ、肥満がみられる便秘症の方に用いられたりします。そのためやせ薬とはいえず、すべての肥満症に対応しているわけでもないので注意が必要です。

 

 

 

防風通聖散の解説

多種の清熱薬を組み合わせて瀉下(下剤のような作用)、袪風、利水などの作用があり、上中下、体内、体表すべての炎症に対応します。

 

体表からの熱の放散、大小便による熱の排せつも妨げられた状況で、病邪が表裏ともに盛んであることを表裏俱実(ひょうりぐじつ)といいます。

 

日本漢方ではこの状態を体力のあるお腹がポッコリしたタイプととらえているので、本来の意味とは異なった使い方になっています。

 

肥満に使う場合は、汗と便から過剰な水分を排除して肥満を軽減するという使い方で、利尿、利胆、瀉下、発散といった効能で標治(対症療法)を行います。

 

 

 

防風通聖散の効能・効果

東洋医学的には袪風、清熱解毒、補血活血、瀉下利水の効果があるとされます。

わかりやすく言うと、発汗と解熱・消炎作用、解毒作用(利尿、利胆、発汗によるもの)、血液循環の改善、余分な水分の除去などがあります。

 

一般的に肥満症や皮膚病、便秘などに使用されることが多いですが、きちんと体質や病気の性質に合わせて使うことが大事です。

 

実際に、防風通聖散をCMなどでみて間違って使用し、副作用が出たり効果が無かったりといったクレームが消費者センターなどに結構届いているようです。

 

 

 

まとめ

防風通聖散に限らず漢方は適切に使用すれば高い効果が期待できます。しかし、漢方を細かく体質や症状に合わせて微調整するのは簡単ではありません。

 

CMや雑誌、ネットでの感想などは基本的に良いところだけを強調したり、情報が部分的だったりするので鵜呑みにせず、本当に自分に合っているのか考えることが必要です。

 

そういったことを無視してただのやせ薬として防風通聖散を使用することは、本来の使い方ではないうえに副作用の可能性が高くなってしまいます。